コーヒーと記憶の話

2021年7月12日

カテゴリ:ブログ, 国産焙煎機, 業務用焙煎機, 焙煎機, 生豆

コーヒーと記憶の話

こんにちは、デリバリーコーヒー豆専門店MirageCoffee店主の藍山です。

本日コーヒーを飲んでいてふと、香港の景色が浮かびました。
なぜか、今日飲んだコーヒーが、香港の金鐘あたりのカフェで飲んだコーヒーと味が似ていると思ったから、あるいは錯覚したからです。

今日の天気は曇り時々雨で、香港のカフェにいるときも突然雨が降り出し。そんな天気や空気の湿った感じなども合間って香港の景色が浮かんだのだと思います。

香港は好きな場所の一つで、何度か旅行で訪れたのと、大規模デモで荒れまくっている時期に少しの間stayしたことがあります。
高校生が警察の銃で撃たれた事件のときも香港に滞在していたので、毎日のようにTVで放映されていたり、翌日に自分でもその現場を訪れてみたりと、街の信号機がボロボロに壊されていたり、地下鉄の入り口のガラスが割れているのを写真に撮ったりと、生々しい体験をいたしました。

そんな恐ろしい体験をしたあとでもなぜか香港が好きです。学生時代に香港の映画を見ていたこともあって好印象がベースにあるためか、香港はあんなに小さなエリアであるにも関わらず、どこか哀愁やロマンがあると思います。

どこに哀愁やロマンを感じるかは人それぞれですが、私はあの狭い空間の中で人が力強く生き、雑然とした街の中から小さくも文化を発信し続けているあたりに、です。東京でいうと高円寺のようなイメージでしょうか。アメリカやカナダ、オーストラリアの広大な大地に爽快感を感じるロマンとは全く別のものです。

匂いは香りを呼び戻す力が強いという話しはみなさんお聞きになったことがあるかもしれませんが、例えば、香水の香りで当時のことを思い出したりと。そんな感じと同じく、コーヒーの香りにも記憶を呼び戻す力があるように思います。

コーヒーをなぜ飲むのかというとうまいからなのですが、記憶を呼び戻して浸ったり、頭の整理をする道具としても使えます。このような話を他の人にしたところで、今日見た夢の話しを聞かされるのと同じで、ふーん、で終わるだけですので、コーヒーを使った記憶に浸るゲームは極めて個人的で一人だけの密かな楽しみです。

そもそもMirageCoffeeも発想は私が10代の時にフランスはパリで飲んだコーヒーから、でした。カップ横におしゃれな紙包みのチョコレートも添えてある当時120円ちょっとで飲めたコーヒーに感動したところからです。特にコーヒーにこだわりがあったわけでもなく、冬の寒いパリで一人旅の途中でふと立ち寄ったコーヒースタンドの1杯のコーヒーに感動し、その場でその感動と周りの様子をメモに書き留めました。

大人になって色々な経験を経て、ビジネスも覚え、原点回帰で、コーヒーの「記憶」を思い出し、コーヒーを飲むならただ飲むだけでなく、コーヒーと浸る時間を大切にしてほしい、記憶遊びに使ったり、空想に耽ったりする贅沢な時間を持ってほしいという密かな願いを込めて、新鮮なコーヒー豆をお届けする本店MirageCoffeeを作りました。’Taste the world , one sip at the time’。

みなさんの記憶の中のコーヒーが見つかるよう、焙煎度合い、挽き具体をカスタマイズできる仕様です。皆さんだけのコーヒーが見つかると嬉しいです。